院長コラム

「ブルー・バイユー」

2021年のアメリカ映画。養子として1980年代に韓国からアメリカにやってきた男が主人公。成長してアメリカ人として生きてきて恋もするが、昔の移民政策で市民権が与えられていなかった。そのため問題を起こして、強制的に韓国に送還されることになる。韓国系アメリカ人が監督・脚本・制作そして主演を務めたシリアスな人間ドラマ。このような事実もあるのだなあ。 評価 〇プラス

「生きる LIVING]

新作のイギリス映画。ただ内容は1952年の邦画の名作と同じ。1953年のロンドンを舞台に、市役所市民課の課長が主人公。何も起こさない彼が末期の癌に侵されていることを知り、市民の要望である公園を造ることに最後の尽力をするが、、、。原作とは40分短いので簡潔ともいえるが、物足りなさも残った。評価 〇

「逆転のトライアングル」

2022年のスウェーデン映画で海外で高い評価を受けている。変な邦題だが、英語の原題は『悲しみのトライアングル』。「セレブを乗せた豪華客船が沈没して、乗客の数名が小島に漂着する。そこで主導権を取ったのは船での雑用婦だった」という大筋が宣伝されている。が、とてつもないブラックな人生喜劇だった。冒頭のレストランでの支払いで揉めたカップルが映画の最後までいて、この映画のキーマンだった。評価 〇

「母へ捧げる僕たちのアリア」

2021年フランス映画。なかなか興味が注がれる邦題だ。南フランスの海辺の町を舞台にしたヒューマンドラマ。昏睡状態にある母を自宅で介護している4人の兄弟の話。様々な苦難に満ちた日常生活を、年の離れた末の4男の少年の目線を通して描いていた。結局は母そのまま死んでいくが、深い家族愛を感じた。評価 〇

「パーフェクト・ノーマル・ファミリー」

2020年のデンマーク映画。題名とは裏腹に「どこが普通じゃ?!」と突っ込みたくなる内容だった。1990年末デンマークの郊外で暮らす一家4名のホームドラマで、11歳の次女の眼を通して見せてくれる。ある日父が母と離婚して、その後性転換して女性になる、、。 長女の姉は、それを認めて元の親子のように接することができるが、次女はそうでなかった。その年齢ではさぞかし多くの障壁があっただろう。 評価 〇

「ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行」

2021年のイギリスのドキュメンタリー作品。2010~2021年に封切られた111本の映画をマーク・カズンズ監督が独自の切り口で検証している。ヒット作品からアート系など多彩な世界の映画から、時代の変化や進化を述べている。2h47はさすがに長かったが、このような映画も必要だろう。評価 〇

「ハッピー・オールド・イヤー」

2019年のタイ映画。断捨離を通して成長していく若い女性を描いた青春ドラマ。主人公の20歳の女性は、山のようになった家の中を改装してシンプルな家を目指す。そこには別れた夫(父)を忘れられない母の姿があった。兄も含めて、それぞれの過去を断ち切るべくファンキーな女友達と共に片付けを始める。新しい感覚の映画で好感が持てた。 評価 ◎

 

「阿弥陀堂だより」

2002年の邦画。東京から夫の故郷である信州の山里に移住した夫婦が、そこで素朴な人々との触れ合いを通して人生の生きる意味を静かに問っている佳作。田舎の風景が美しく、また懐かしい。主人公の女性(樋口可南子)は、都会の生活で心に傷を負った医師で、村民を診ながらも自らも癒されていく。夫役の寺尾 聡も素晴らしい存在感だった。 評価 ◎

「ロストケア」

新作邦画。題名は映画の中でも言っていたが『喪失の介護』とのこと。民間の介護士の男性が、あることからそれまで自宅介護していた41名を殺したことで逮捕される。しかし、検事の取り調べで、彼は「それらの命を救った」と供述した。「安楽死」の問題を含めて、不治の病や痴呆症の老人を自宅で介護しているその家族の窮状を考えたら、その人を殺すことが絶対の悪か? という問題提起がこの映画の本質でもあった。脚本や演出、キャストなど皆上手くて臨場感があった。必見の映画だ。 評価 ◎

「レディ・アロー」

2022年のオ―ストラリア映画。無名の俳優ばかりだ。邦題もシンプル。アーチェリー選手の主婦が主人公。夫婦と娘との3人で貸別荘を訪れた際に、武装グループに夫を拉致されてしまう。主人公は弓矢で一人戦う、、。それ以上でも以下でもなかったが、殺し方(?)は、かなり残酷にみえた。評価 〇

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