2021年03月

「ノマドランド」

アメリカ映画の新作。今年のアカデミー賞でも本命視されている小品。題名の『ノマド』とは現代の遊牧民を指す。身寄りもなく仕事も故郷もなくなった人々が車中生活を余儀なくされながら、時折の仕事を求めて生きている様をドキュメンタリータッチで描いていて、ロードムービーともいえる。主要なキャスト以外は実際のノマドの人々が出演している。中国生まれの女性監督が撮っている。 評価 〇プラス

「霧の中の少女」

2017年のイタリア映画。イタリアの推理作家ドナート・カッリージが自身の小説を映画化したサスペンス映画。ある少女が行方不明になる。その捜査に当たった老獪な刑事の、マスコミを操り容疑者を追い詰めるという手法が賛否両論を醸し出しながらスリリングにストーリーは進む。但し、途中で容疑者として浮上した教師の犯行だった という結末はなにかしっくりこなかった。 評価 〇マイナス

「15ミニッツ・ウォー」

2019年のフランス=ベルギー映画。1976年当時フランス領だったアフリカのジブチで起こったテロ事件を扱ったサスペンスアクション。といっても内容は地味で大きな戦闘はラストの数分しかない。学童が乗ったスクールバスが4人の男たちにハイジャックされる。国境線の砂漠地帯に止まり政府とテロリストたちの静かな駆け引きが始まる。フランスの対テロ特殊部隊の狙撃兵たちがその排除を行う。結局テロリストたちの射殺と一人の学童の死により事件は収まるが、その犠牲を悼んでミッションは終わる。これも現実だろう。評価 〇プラス

「劇場版 奥様は、取り扱い注意」

邦画の新作。テレビでヒットしたものの映画化。先の読める展開で気楽に見られた。主役の二人は確かに華のある俳優で、それだけで楽しい。アクションシーンも頑張っていた。ただそれ以上のことがなかった。評価 〇

「寝ずの番」

2006年の邦画。俳優の津川雅彦が「マキノ雅彦」の名前で監督した映画。中島らもの同名の短編小説を基に上方落語の世界を綴った喜劇。師匠の臨終から始まり、弟子の落語家たちがてんやわんやしながら故人(計3名)を送る様をコミカルに演じている。大笑いはできないが人情ものとして、実によくできていた。〇プラス

「ミナリ」

新作のアメリカ映画。今年のアカデミー賞において作品賞にノミネートされている。韓国系アメリカ人監督の自叙伝的な映画で、半分以上は韓国語。1980年代にアメリカの中央の州に移住してきた韓国人一家の話。親子4名と後で韓国から来た母との5名がその地で農業を始め苦労する話。静かな日常にも様々な起伏があることを見せてくれる小品。いかにも通好みの映画に思えた。 評価 〇プラス

「陽気なギャングが地球を回す」

2006年の邦画。伊坂幸太郎のベストセラー小説の映画化。得意な才能を武器に銀行強盗を成功させてきた男女の4人組が横取りされた大金を巡って頭脳戦を繰り広げる犯罪コメディ。どうしてもこの手の映画は現実感&緊張感が乏しくて日本では無理になる。まあ大人の喜劇としてみればよいのだろう。お遊び感覚的には成功している。15年前だが、今でも活躍している俳優たちをみるのも一興だろう。 評価 〇

「世界で一番しあわせな食堂」

2019年のフィンランド=中国映画。題名のように心温まる映画だった。フィンランドの田舎町にやってきた中国人の父と子。誰かを探しているようだが、通じない。訪れた寂れた食堂で偶然料理の手伝いをしながら、そこでしばらく生活することになる。言葉も文化も食生活も大いに異なる者たちが、それらを乗り越えて共に生きようとする姿が美しかった。 評価 〇プラス

「木曜組曲」

2002年の邦画。まったくこの映画知らなかった。恩田 陸の同名小説の映画化。監督は篠原哲雄。4年前に謎の死を遂げた女流作家(浅丘ルリ子)。彼女を偲んで毎年命日に集う4人の縁のある女性たち(鈴木京香、富田靖子、西田尚美、原田美枝子)。4年目にして彼女たちがその死を巡って謎を解明していく密室サスペンス。スッキリとした終わり方ではなかったが、20年前の映画としては貴重だった。 評価 〇

「カーライル ニューヨークが恋したホテル」

2018年アメリカ映画。世界中のセレブ御用達のNYの五つ星ホテル『ザ・カーライル』に迫るドキュメンタリー。徹底的に秘密を保持するそのホテルの姿勢がその原動力となっている。ジョージ・クルーニーらこのホテルを愛するスターやスタッフの証言から魅力を紹介している。1泊3,000~10,000ドルという費用が高いのかそうでないのか? ムーン庶民には解らない。評価 〇

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