院長コラム

「耳に残るは君の歌声」

2001年のイギリス=フランス映画。何と素晴らしい邦題であろうか?! 原題は『泣く男』といたってシンプル。この映画20年前の私の年間ベストテンの第1位にしている。久しぶりに見たが、やはり歴史を感じる世界観が素晴らしかった。ロシアに住んでいたユダヤ人の迫害を幼い少女を通して見せてくれる。時代に翻弄された過酷な運命に名作ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」をも彷彿とさせた。ラストまで一気に見せてくれたテンポのよさも感じた。評価 ◎

「連弾」

2001年邦画。竹中直人の監督4作目。題名のように母と娘が弾くピアノが中心になってはいる。夫婦関係が破綻している一家で母と娘の連弾によるピアノの発表会へ向けての夫との家族3人のそれぞれの姿を描いたオフビートなファミリードラマ。ユーモラスに撮ってあるようだが、とてもそうには見えなかった。 評価 〇マイナス

「サマー・オブ・ソウル」

2021年のアメリカドキュメンタリー映画。1969年の夏にニューヨークで行われた「ハーレム・カルチャラル・フェスティバル」の映像を50年ぶりに編集して公開されたもの。それは『幻のライヴ』と呼ばれている。副題に『あるいは、革命がテレビ放映されなかった時』とあるように、これは当時画期的なイヴェントだったが全く無視された格好だった。黒人のミュージシャンがほとんど。私はフィフス・ディメンションやニーナ・シモンが印象的だった。評価 〇

「甘いお酒でうがい」

2020年の邦画。意味不明の題名だがその通りの内容(?)で、40代独身の女性が主人公。ベテランの派遣社員の彼女(松雪泰子)が同僚や年下の青年たちとの交流の日々を綴ったドラマ。脱力系の映画。部下の黒木 華がよかった。評価 〇 マイナス

「薬の神じゃない」

2018年中国映画。中国で実際に起きた薬の密輸販売事件を映画化している。金儲けのために安価なジェネリック薬の密輸に手を染めた男が主人公。彼はその薬が白血病のに効果のある薬で、本場スイスの高価なものが入手できなくて困っている患者のためにインドからジェネリックを仕入れるルートを開発した。その後は儲けなしにその薬を密輸しようとして中国当局と対立する、、、。ヒューマニズムに目覚めた主人公の男気を感じた。 評価〇プラス

「パコダテ人」

2002年の邦画。題名の如く函館を舞台にしたコメディ。ある日突然しっぽが生えてきた女子高校生を巡り起こる騒動をコミカルに描いている。ある意味青春ラブストーリーともいえる。宮崎あおいや勝地 涼、大泉 洋など今でも活躍している役者が見られるのも嬉しい。この監督は前田 哲氏で、今年「そして、バトンが渡された」「老後の資金がありません!」とヒットを連発している職人監督だ。 評価 〇プラス

 

「落下の王国」

2006年のインド=イギリス映画。世界の20か所以上でロケをした映画叙事詩。アート系の作品で衣装を担当したのが石岡瑛子氏。その圧倒的な風景と衣装の美しさが堪能できる。物語は100年前、重傷を負ったスタントマンが病院で骨折して入院した少女に空想の冒険活劇を聞かしてそれが映像になる という「千夜一夜物語」的なファンタジーもの。必ずしも成功したとは思えない出来だが、カルト的な魅力と一部での強い支持がある映画だ。 評価 〇プラス

「約束のネバーランド」

昨年劇場公開した邦画。ヒット漫画の実写映画化。養護施設を舞台に恐るべき事実を知った子どもたち。彼らは食用として育てられていた。その地を離れるべく脱走を図る彼らと管理者の攻防を描いている。このような近未来の世界を考えたのは凄いが、決して褒められる状況ではない。子供の逞しさやサバイバル能力の良さもわかるが、あまりに刺激が強いのと犠牲が大きかった。評価 〇

「アンティークの祝祭」

2018年フランス映画。カトリーヌ・ドヌーヴ主演。実の娘キアラ・マストロヤンニも娘役で共演している。フランスの片田舎に住む老女クレールがまだらボケの中で、これまで収集したアンティークのコレクションを処分する決意をする。まずは自宅の庭でガレージセールのように安く売ることから始める。そこに娘や近親者がやってきて、これまでのクレールの半生を振り返る。最後の邸宅の大火災が見もので、すべて終わってしまった。 評価 〇マイナス

「ディア・エヴァン・ハンセン」

新作洋画。ブロードウェイで5年前から話題になっている劇の映画化。高校生のエヴァンは精神を病んでいてその治療の一つとして自分にあてた手紙を書いている。ある日その手紙を同級生のコナーに持ち去られてしまい、その直後彼は自殺してしまう。その手紙を見つけたコナーの両親はエヴァンがコナーの唯一の親友だと誤解する。そこから起こる”ありもしないコナーとの思い出”が人々の共感をよび、SNSを通じて世界中に広がり、エヴァンは一躍”時の人”になるが、、、。歌で綴る青年の心からの訴えが希薄な今の時代を象徴している佳作。評価 ◎

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