2023年11月

「悪は存在しない」

2023年の邦画。今年のベルリン国際映画祭で、みごと濵口竜介監督が「金獅子賞(監督賞)」を獲得した作品。日本の公開は来年4月末だが、11月26日(日)「広島国際映画祭」において、日本初のジャパンプレミア上映がされた。映画の後には監督や音楽担当者、そして出演者4名による舞台挨拶があった。題名が意味深だ。まだまだ自分の中で評価に戸惑っている。もう少し熟成したい。

「猫は逃げた」

2022年の邦画。「猫が」ではない。猫のその行動が中心ではないが、重要なキーになっている。離婚寸前のカップルと、それぞれの浮気相手の男女の4人が織りなす恋愛ドラマ。無名の俳優を用いての軽いタッチのコメディ。シリアスにしないところがこの監督&脚本家の意図のようだ。半径500mの出来事。小品。評価 〇プラス

「零 落」

2023年の邦画。主人公は男の漫画家。8年連載した漫画が大好評だった。しかし、次の新作のアイディアが全く生まれず、スランプに陥ってしまう。大いなる虚無感を抱いて、妻とも弟子たちとも仲たがいする。そんな時に呼んだ風俗嬢との交流で、何かを取り戻しつつあるところで映画は終わる。どんな仕事でも、そんな時に心の支えを人は求めている。小市民の悩みを描いた同名漫画の映画化で、何とか見れた。 評価 〇

「AKAI」

2022年の邦画。題名はもとボクサー:赤井英和を指している。いまは俳優業を中心に頑張っている彼は、元々プロボクサーだった。その時の栄光とその後を見せてくれるドキュメンタリー映画。「浪速のロッキー」として多くの人々を熱狂させた時代とその後の人生を、実の息子が監督している。彼の人間としての魅力が十分に伝わっている。本当にまっすぐで正直な男だ。 評価 〇プラス

「FALL/フォール」

2022年のアメリカ映画。 題名のように「落ちる」ということ。冒頭、素手のロッククライミングをしていた3人の若者のうち一人が転落死してしまう。そのトラウマが冷めないうちに、二入の女性は砂漠にある古いテレビ塔に昇ることになる。地上600mのてっぺんに辿り着いたが、付属の梯子が老朽化で崩壊してしまう というスリラー。高所恐怖症の人には決してお薦めできないなあ。でもどうやって撮影したのだろう? こんな無謀なチャレンジをする若者に乾杯!??  評価 〇

「死を告げる女」

2022年韓国映画。ある女性から自らの死を予告する電話を受けスクープを入手したテレビの女性キャスターが主人公。その事件を追ううちに驚きの真実が明らかになるサスペンススリラー。結局主人公とその母親の過去が問題だった。評価 〇

「クリーデンス クリアウォーター リヴァイヴァル トラヴェリング・バンド」

50年前に一世を風靡したアメリカのロックグループCCRの貴重なドキュメンタリー映画。1970年のヨーロッパツアーの中で、ロンドンのロイヤル・アルバートホールでのコンサートの模様を中心に、彼らの足跡を追っている。若かりし頃よく聴いた音楽が懐かしかった。観客も60歳以上だったかな?!  評価 〇

「声/姿なき犯罪者」

2021年の韓国映画。題名と見た印象が異なる。妻が振り込め詐欺に遭い大金を失った元刑事が、中国にある詐欺組織に潜入する。そして図らずも組織をつぶすことになる というアクション映画。主人公は決してヒーローでもスーパーマンでもない普通のしがない男という設定がニクかった。評価 〇プラス

「バカ塗りの娘」

新作邦画。題名はインパクトがある。この「バカ」とは青森の津軽塗の漆器を作る際に、その職人が「馬鹿丁寧に何度も何度も塗り返す」様から取っている。映画でも冒頭にそれを語っている。その漆器職人を父と二人でしている娘が主人公。気難しい父、父と別れて別の生活をしている母、そして同性婚を考えている兄と漆職人を本業にするかどうかで悩んでいる娘をそれぞれ描いている。ただ、脚本にアラがあり、うまく話が繋がらなくて疑問が残る箇所もあった。 評価 〇

「ロスト・キング 500年越しの運命」

新作洋画。副題名のように500年前の国王「リチャード三世」を巡っての発掘騒動の顛末を描いている。10年前に実際に起こった事件の再現。普通の女性が1485年に死んだリチャード三世の遺骨を捜して奔走する様をドキュメンタリータッチで見せてくれた。そして彼の王としての復権が成された。素晴らしい内容だ。評価 〇プラス

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