2021年06月

「いとみち」

新作邦画。題名は津軽三味線を祖母から教えてもらった女子高校生のヒロインの名前「いと」からきている。なまりが強くて引っ込み思案の彼女が町にある「メイドカフェ」でアルバイトをしたことから起こる物語。特に大事件はないが、それなりに世間の風に巻き込まれる。地域興しによる企画か? 評価 〇

「1秒先の彼女」

2020年の台湾映画。本国でヒットしたようだ。この邦題 内容的には(ネタバレになるが)『1秒先の彼女と1秒後の彼氏』だった。30歳過ぎて都会に単身で住んでいる女性(郵便職員)の日常が前半で、後半は彼女に心を寄せているドジな青年を描いている。この二人に起こるバレンタインデイを巡っての奇跡の出来事を見せてくれるファンタジー映画。観る価値はあった。 評価 〇プラス

「ARC アーク」

新作邦画。中国系の作家による同名の短編小説の映画化。「永遠の美」を手に入れた女性の近未来の物語。主人公のリナは17歳の時に子供を産み、その後ある会社に就職する。そこは遺体を生きているままの姿で保存する施術を業務とするところだった。そこでリナは天才科学者の天音と知り合う。彼は不老不死の研修をしていて成功し、二人にその処置を行う。天音は遺伝子のトラブルで命を落とすが、リナは人類史上初の永遠の命と変わらない体を得るが、、、。このような内容の映画は、いかに事実のように見せるかということと「それでいいのか?」という問題提起を常に孕んでいる。私は理解不能というかコメントができない。評価 △

「シークレット・ジョブ」

2020年韓国映画。『秘密の仕事』って何? 廃業寸前の動物園を舞台にしたコメディタッチのヒューマンドラマ。そこに投資して儲けようとした駆け出しの弁護士が奮闘して、結果的に動物園を救うことになる。動物に代わってぬいぐるみを という馬鹿馬鹿しいアイディアが見ものだった。評価 〇プラス

「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」

邦画の新作で続編。副題にように殺人を禁じられている男が主人公。殺伐としたシーンもあるが根本的には喜劇タッチで作られている。冒頭と中盤とラストのアクションシーンは従来の日本映画のそれを超えていた。特にアパートでの多くの敵との攻防は凄くそれだけでも観る価値があった。前作は期待度が高かった分残念だったが、今回は期待度を下げたためか面白く観られた。 評価 〇プラス

「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」

2019年のポーランド=イギリス映画。題名のように1930年代 第2時世界大戦前夜のヨーロッパで、理想の社会主義をアピールしていたソ連の実態を苦心して取材したイギリス人記者の実話に基づく映画。その実態を目の当たりにした彼の苦悩とジャーナリストとしての戦いを見せてくれた骨太の衝撃作だった。監督はポーランド出身の女性アグニゥシュカ・ホランド。評価 〇プラス

「人間の時間」

2018年の韓国映画。監督は惜しくも昨年末に亡くなった鬼才キム・ギドク。ある観光船が多くの観客を乗せて就航する。そこにはいろいろな韓国人が乗船していて、日本人カップルもいた。不穏な空気が流れていく中で突然船は異次元空間に迷い込む。食料不足を心配した乗客たちがサバイバルな戦いを始めてしまう。何とも不可思議なドラマで日本語も飛び交っていた。 評価 〇マイナス

 

「ライド・ライク・ア・ガール」

2019年オーストラリア映画。原題も同じ。オーストラリアの競馬界で最高の栄誉とされるメルボルンカップを女性騎手として初めて制した実話に基づいた作品。騎手の父親の元に生まれた兄弟たちが皆同様に育っていくのを見てきた末っ子のミシェルは、姉たちほどの能力がないと思っていた。落馬による重傷を負いながら、また男女の差別にも耐えながら見事に復活を遂げた感動のドラマだった。評価 ◎

「大綱引きの恋」

邦画の新作。何ともベタな題名だが、鹿児島県薩摩川内市に420年続くこの年中行事「大綱引き」を中心にそこに住む人々の愛しい生き方と恋愛を描いた日本映画ならではの味わいがある作品。2019年の秋にロケしている。監督は昨年3月末急死した佐々部 清。この映画が遺作になった。その意味でも感慨深かった。古き良き邦画の味わいがあった。広島市では7月1日までの公開。評価 ◎

「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」

2019年フランス映画。実際に起きた神父による数件の男子児童への性的虐待を告発したノンフィクション作品。鬼才フランソワ・オゾン監督が映画化した重厚な社会派ドラマ。大人になった男たちが幼い時の虐待のトラウマを抱えて今も悩んでいる事実は重い。その被害者たちをそれぞれ順に描いていた。予想とは違い展開が事実らしかった。ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞している。 評価 〇プラス

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