院長コラム

「バイス」

昨年のアメリカ映画。原題は”VICE”でアメリカ副大統領を指す。20世紀の終りから政治に関与したディック・チェイニー氏がブッシュ大統領の要請で副大統領に就任する。その翌年の2001年9月11日に例の大惨事が起きる。それ以後のアメリカの右翼化(軍事行動化)に加担・指導したのが彼だった ということを描いている。まだ20年足らずの歴史をこうやって振り返るのがいかにもアメリカらしい。実在の人々に実に皆よく似ていた。評価 〇

「海を駆ける」

2018年の日本とフランスとインドネシア合作映画。インドネシアの海沿いが舞台。海岸で倒れていた日本人らしき男(ディーン・フジオカ)が助けられる。そこにはインドネシアに住んでいる日本人たちがいた。正体不明の男を世話しているうちに、彼が不思議な奇蹟を何度か起こす。が、また海に戻ってしまう。ファンタジーといえばよいのかな。登場している鶴田真由や太賀のインドネシア語の上手さには驚いてしまった。評価 〇

「娼年」

凄い造語の題名だ。昨年話題になった邦画。文字通り主役の松坂桃李が女性に体を売る20歳の大学生を演じる。ただ女好きとか お金のためだけではない何かを求めてのアルバイトだったが、相手の様々な女性の欲望や性癖に戸惑いながらも、彼女たちの傷ついた過去や心を癒していく。さらに自らも成長していく様が感じられた。きわどいシーンも多々あったが、それだけでない作品と思えるものがあった。 評価 〇プラス

「教誨師」

記念すべき?200本目がこの邦画になる。昨年公開された映画。6名の死刑囚と対話する教誨師の話。その教誨師を急逝した大杉 漣氏が演じていて、彼はこの映画のプロデューサーも兼ねていた。その想いが伝わった。地味だが、人間の本質というか根源的に持っている性質は不変だということを見せてくれた。評価 ◎

「アバウト・レイ 16歳の決断」

2015年のアメリカ映画。題名のように16歳の悩みが描かれている。外見は女性で生まれた彼が、名前も環境も変えて性転換手術に臨もうと決めたが、バツイチの母親、ならびに同居している祖母とその女性のパートナー、さらに戸籍上の父親とその弟などが絡んで様々な摩擦が生じる。でも彼レイのために皆が歩み寄る姿(変化)が素晴らしかった。評価 ◎

「プリティ・プリンセス」

2001年のアメリカ映画。サンフランシスコに住む地味な女子高校生が、実はヨーロッパの小国の王位継承者だったことから起きるコメディ。現在の女王をジュリー・アンドリュースが、若いミア(王女)をこの映画でデビューした当時18歳のアン・ハサウェイが演じている。物語の展開は予想された域を超えてはないが、それでも気持ちよく見られた。 評価 〇プラス

「時間回廊の殺人」

2017年の韓国映画。固い題名だが、観終わると納得できた。夫と長男を殺した容疑で逮捕された主婦。25年後仮釈放され、廃家になった殺人現場の自宅にもどるが、そこで怪現象に遭遇する。25年前さらにその50年前、さらにその前にそこで成仏していない人々が存在していた。ホラータッチであるが、内容は親子の情愛を描いていた。 評価 〇プラス

「監獄の首領」

2017年の韓国映画。「かんごくのドン」と読むのかなあ。文字通り「監獄」に収容されている男が、その監獄の囚人のみならず刑務所の所長以下も牛耳っている。それはその中だけでなく、塀の外の娑婆でも同様で、部下に命じて刑務所を抜け出して殺人などの犯罪を繰り返してきた。その実態を調査して首領を逮捕すべく、特別任務の刑事が潜入していく、、、、。その後の展開は韓国映画ならではの迫力だった。評価 ◎

「ブラック・クランズマン」

今年のアカデミー賞で話題になり脚色賞を獲得した映画。1970年代のアメリカの南部の田舎町にて、ユダヤ系と黒人の二人の刑事が「白人至上主義団体 KKK」に潜入捜査した驚きの実話を基にしている。何事も今とはかなり違っていて、この演出も緩くゆったりと喜劇タッチで見せてくれた。 評価 〇

「ビール・ストリーの恋人たち」

1970年代のニューヨークのハーレム地域を舞台に、黒人のカップルによる究極のラブストーリー という触れ込み。邦題もそのような感じになっている。あの時代まだまだアフリカ系アメリカ人への差別は多くて、無罪の罪で服役した人も多かったようだ。でもそれを見せられてもなあ。今の時代ならばいろいろな方法で冤罪を証明する術があるのに、、、と思ってしまうのは私だけか? そう考えるとこの映画の真意は? ムーン  評価 〇

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