院長コラム

「チャンシルさんには福が多いね」

2019年の韓国映画。長く映画のプロデューサー業をしていた女性が主人公。ある時一緒に映画を作っていた監督が急死し仕事一筋だった彼女は失職してしまう。次の仕事や目標が見えない間に自分の人生を見つめ直す という実体験に基づくストーリー。実際にそのプロデューサーが監督している。オフビート感覚の静かな映画で、現実と夢との境界も曖昧に作ってあった。評価 〇マイナス

「吟ずる者たち」

邦画の新作。広島県の酒作りを題材にした作品。現代と100年前の時代を交互に見せながら日本酒に懸けた人々の営みを真摯に見せている。地方発信の映画は時として独りよがりになったり、マイナーで中途半端な出来で終わるのだが、この映画はそれを超えて一般の劇場映画としても立派に成り立っていた。 評価 〇プラス

「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」

2020年中国映画。かつて40年前に台湾で作られて大ヒットしたシリーズのリメイク。ストーリーは同じだがとても前作には及ばなかった。それは美女幽霊役のジョーイ・ウォンの華麗さがなかったことに尽きる。評価 〇マイナス

「エターナルズ」

マーベルコミックからの新作。10名の地球の守護者たちが7000年前に宇宙からやってきた。彼らはエターナル(不死・永遠)の者たち。現在は地球のいろいろなところで人類を見守っていたが、地球の存亡の危機(ここがあやふやだった)で集結して、かつて退治した怪物たちとも戦う というストーリー。未来が明るい内容ではなかった。続編も決定している。評価 〇

「パニック・フライト」

2005年のアメリカ映画。邦題から内容は想像できる。ホテルに勤務している女性が父に会いに故郷に戻る飛行機で偶然出会った(と思わせる)男性から要人暗殺計画に巻き込まれる というサスペンス。機内という密室での攻防と飛行機を降りてからの戦いが1時間半の短い間にテンポよく描かれていた。 評価 〇プラス

「リスペクト」

アメリカ映画の新作。『尊敬』の意味だが、この映画の主役だった女性歌手アレサ・フランクリンの代表作の曲名でもある。1960年代ゴスペルを基本にした歌い方で一世を風靡した彼女の生き様を見せている。演じているジェニファー・ハドスンの圧倒的な歌声が素晴らしい。父との確執や夫の暴力などを超えてのアレサの半生が垣間見られた。評価 〇プラス

「アナザーラウンド」

デンマーク映画。今年のアカデミー賞において国際長編映画賞を獲得した作品。4人の高校教師が「血中のアルコール濃度を常に0.05%に保てば公私ともにハッピーになる」という仮説を実行する という不思議な内容。下戸の自分には全く理解も共感もできなかった。デンマークでは16歳になればアルコールの飲酒が認められているとのことで、週に4回飲む高校生もいた! 評価 △

「老後の資金がありません!」

切実な題名だ。同名の小説の映画化。50代の主婦が主人公。平凡な一家4名の暮らしが義父の死から崩れる。その葬式代、娘の妊娠と結婚式、バイト先の終了、夫の会社の倒産そして義母の転居など様々な困難で思わぬ出費が家計を直撃するが、、、。このようなシチュエーションをコミカルに描いて笑いと感動を見せてくれた。観てよかった映画だった。主演の天海祐希はこれまでで最高の役だったし、義母役の草笛光子には助演女優賞を差し上げたい! 評価 ◎

「そして、バトンは渡された」

同名のベストセラー小説の映画化。結末は原作本とは変えてある由。最初4名の登場人物の説明があって、それが二人ずつの関係と解っての二つの物語でスタートするが、、。ネタバレになるので、それ以降は観てのお楽しみ。後半になるにつれて登場人物像が明確になり盛り上がってくる。予想以上の出来の佳作。是非観て欲しい邦画の1本だ。評価 ◎

「コリーニ事件」

2019年ドイツ映画。2001年残忍な殺人事件がホテルの一室で起こった。それを担当した新人の弁護士にとって、被害者は自分の恩人だった。加害者の老人はずっと黙秘していたが、被害者との関係が徐々に明らかになるにつけて50年以上前のナチスドイツの悪行が明らかになる。今でもあの戦争の傷跡は根深い。評価 〇プラス

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