院長コラム

「人数の町」

2020年の邦画。意味深な題名だ。借金で首が回らなくなった青年が主人公。彼のような人が集められバスに乗ってとある場所に連れていかれる。そこは衣食住と快楽が保証されている代わりに決して離れることができない町だった。多くの人が住んでいて最初は心地よかったが、そのうちに疑問が出てくる、、、、。脱出して元の町の戻っても、そこにはもはや自分の戸籍や存在すら確認できなかった。この不可解なサスペンスで何が言いたかったのかわからなかった。 〇マイナス

「グッバイ、リチャード!」

2018年のアメリカ映画。肺癌で余命半年の宣告を受けた大学教授が残された時間を自由に生きることで、人生を見つめ直していく姿を綴った映画。自暴自棄になる前半のシーンを含めて主役のジョニー・デップには違和感を覚えた。評価 〇

「浜の朝日の噓つきどもと」

邦画の新作。福島中央テレビが開局50周年を記念して製作した。古い映画館「朝日座」を立て直そうとしてやってきた女性(高畑充希)の奮闘ぶりを館主(柳家喬太郎)や地域の人々との交流を通じて描いたヒューマンドラマ。『映画愛』が感じられた佳作。主人公の恩師役を演じた大久保佳代子がよかった。評価 〇プラス

「ダウントン・アビー」

2019年のイギリス映画。テレビシリーズで大人気だったものの映画化。物語はシリーズが終わって2年後の1927年が舞台。ヨーク州の貴族の邸宅『ダウントン・アビー』に国王夫妻が訪問することから起こる騒動を描いている。テレビシリーズを見てない自分は最初は人物設定が判らなかったので戸惑ったが、あらゆることを手際よくみせてくれて最後はすべてよし! が素晴らしかった。「グランドホテル形式の映画」の典型で大満足して3回も続けて見た。評価 ◎

「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」

2019年アメリカ映画。このシリーズの3作目にして完結編。バイキングの青年と彼の親友であるドラゴンの物語。この関係は映画「アバター」のそれのようにお互いの信頼関係がある。最終編はお互いの仲間や親族たちが平和で豊かな新天地を求めての困難な旅の出る様を描いている。妙に懐かしさのある映画で心地よかった。評価 〇プラス

「梅切らぬバカ」

邦画の新作。題名はご存じの「桜伐る馬鹿梅伐らぬ馬鹿」から取られている。老女とその自閉症の50歳の息子の隣に、3人家族が引っ越ししたことから起こるちょっとした変化を日常に交えて見せている。どこにでもありそうな住民たちの争いと理解もあり、その奥に今の日本の現実を映していた。1h17と短いのは良いが、その後の展開をもう少し観たかった。 評価 〇プラス

「ヒトラーに盗られたうさぎ」

2019年のドイツ映画。1930年代のベルリンにおいてナチスの台頭前に国を出たユダヤ系一家の話。スイス~フランス~イギリスに渡るまでの苦労を描いている。主人公の少女はのちに絵本作家になった。その自伝時な小説の映画化。タイトルは比喩的な表現で、幼い時の想い出のウサギのぬいぐるみのこと。評価 〇

「チャンシルさんには福が多いね」

2019年の韓国映画。長く映画のプロデューサー業をしていた女性が主人公。ある時一緒に映画を作っていた監督が急死し仕事一筋だった彼女は失職してしまう。次の仕事や目標が見えない間に自分の人生を見つめ直す という実体験に基づくストーリー。実際にそのプロデューサーが監督している。オフビート感覚の静かな映画で、現実と夢との境界も曖昧に作ってあった。評価 〇マイナス

「吟ずる者たち」

邦画の新作。広島県の酒作りを題材にした作品。現代と100年前の時代を交互に見せながら日本酒に懸けた人々の営みを真摯に見せている。地方発信の映画は時として独りよがりになったり、マイナーで中途半端な出来で終わるのだが、この映画はそれを超えて一般の劇場映画としても立派に成り立っていた。 評価 〇プラス

「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」

2020年中国映画。かつて40年前に台湾で作られて大ヒットしたシリーズのリメイク。ストーリーは同じだがとても前作には及ばなかった。それは美女幽霊役のジョーイ・ウォンの華麗さがなかったことに尽きる。評価 〇マイナス

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