院長コラム

「ホテル・ムンバイ」

2008年にインドのムンバイの五ツ星ホテル(タージマハール・ホテル)で起こったイスラム過激派の若者による無差別テロ事件と、そこにいた大勢の客とスタッフの生還のドラマ。ドキュメンタリー的な緊張感が溢れているが、その中でも核になる人々がいた。その意味で映画の展開はわかり易かったし、結果も予想の通りだった。観終わった後の解放感もあり、上手く作られた作品になっていた。評価 ◎

「2重螺旋の恋人」

2017年のフランス映画。監督は鬼才のフランソワ・オゾン。主人公の女性クロエは自分が通っている精神分析医のポールと同居するようになる。ある時にポールによく似た男(ルイ)と出会う。二人は訳あり(?)の双子だった。おとなしいポールよりも粗野なルイに心惹かれ、やがて肉体関係を持つようになり、三角関係に陥るか、、、と思ったら、後半は思わぬ展開になった。ネタバレになるのであえて書かないが、きっと観客は皆驚かされるだろう。心理サスペンスドラマ。 評価 ◎

「オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁」

中国映画。役所広司が中国人(?)として主役を張っている。ヒマラヤ救助隊の隊長役で、エベレストの山頂付近に墜落した飛行機から機密文書を探すミッションを仲間と請け合うストーリー。極寒の場所でのアクション映画であるが、荒唐無稽すぎて私はダメだった。あんな装備で大丈夫? 観ている方が寒くなった。評価 △

「パパはわるものチャンピオン」

2018年の邦画。現役のプロレスラー 棚橋弘至が主演した人間ドラマ。かつてはトップレスラーとして活躍していたが、けがのため覆面悪役レスラーとして今しがない生活を送っていた男が、息子のために再びヒーローとして輝けるか?! というストーリー。演技的にも見られる出来だった。評価 〇

「アイリッシュマン」

NETFLIXで11月末から全世界で配信される新作映画。USAを始め日本でもその前に1~3週間限定で劇場公開されている。マーチン・スコセッシ監督の3時間半の犯罪映画。しかし、その長さを感じさせなかったほど面白かった。1950年代から現在(?)までの長きに渡ってアメリカの裏社会で生きてきたヒットマンの人生を描いた大河ドラマ。評価 〇プラス

「影踏み」

横山秀夫の推理小説の映画化。主人公は「のび師」と呼ばれる泥棒。ある家に忍び込んだことから逮捕され2年の実刑をくらう。出所後その事件を自ら追って捕まった経緯とその裏を調べようとする。出所した時の迎える若者と、元恋人につきまとう男が双子だったというのがキーであるが、そこらが映像ではうまくいってなく不満が残ろ出来だった。主人公を演じた山崎まさよしにも難があった。評価 〇

「くるみ割り人形と秘密の王国」

昨年劇場公開されたディズニーの実写映画。チャイコフスキーのバレエ音楽を用いている。くるみ割り人形に導かれて不思議な世界に迷い込んだ少女の冒険を圧倒的な映像美CGで描き出している。物語の内容よりもその方が見どころが多い。主役の少女マッケンジー・フォイの綺麗さもよい。評価 〇プラス

「永遠の門 ゴッホの見た未来」

2018年のドイツ・フランス・アメリカ映画。フィンセント・ファン・ゴッホの30代(晩年)を描いたフィクション映画。ほとんど英語で話していることに違和感を覚えたが、それ以外では満足できた。フィンセントが絵を描く様子やそれを飾ってある場面などため息がでた。変わり者のフィンセントを温かくサポートしている弟テオの存在も素晴らしかった。ゴッホの絵画ファンにとっては必見の映画だ。評価  ◎プラス

「ひとよ 一夜」

邦画。3人の子供たちへの夫(父)の絶え間ない暴力を阻止すべく、その夫をひき殺したタクシー運転手の妻(母)が、刑期を終えて15年ぶりに故郷に戻ってくる。10代だった子供たちもそれぞれ屈折しながら大人になっていて、母に対する気持ちが微妙に異なっている。 この映画では周囲の者を含めて、改めて皆で過去を総括することが必要だと説いている。もう一つの父と息子のエピソードがかぶさってくるストーリーもアクセントになって良かった。 評価 〇プラス

「愛しのアイリーン」

2018年の日本映画。農家の一人息子42歳の岩男は独身。日本の女性との結婚をあきらめて大金を払ってフィリピンで花嫁を探す。そしてアイリーンという女性を娶る。環境もそれまでの生活も異なる二人の前途は厳しかった。前半は日本の男(安田 顕)が主人公だが、終盤はアイリーンがメインとなる。岩男の母親役の木野 花の演技に圧倒された。いまの日本の農村の問題を深く掘り下げていた。評価〇プラス

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