院長コラム

「おかあさんの被爆ピアノ」

この時期、広島の人間は「8・6」を改めて思い起こしている。直接被爆を受けた身内がいるわけではない市民たちも同様だ。その意味ではアップデート的な映画だ。「被爆ピアノ」という言葉も我々には馴染がある。戦後75年経て、原爆の実体験を語る人々も年を取っていく。そんな時期にその日を忘れないための一つとして、被爆を受けてもいまなお楽器として利用できるピアノを通して「原爆を受けたこと」を忘れさせないことは将来に対しても重要なことだろう  というようなことを考えさせてくれた映画だった。 評価 〇プラス

「最高の花婿 アンコール」

2018年フランス映画。題名の如く続編。前作で4人の娘を持つヴェルヌイユ夫妻の総ての花婿がいわゆるフランス人ではない多国籍だったが、今回はその4女の黒人の夫の実家であるアフリカの妹が同性婚をする話と娘たちがそれぞれ夫の国~イスラエル、中国~と転勤先のインドに移る予定があることを知り、両親がフランスの良さをアピールする という2つの話を中心にみせるコメディ。前作ほどの驚きと楽しさはなかったなあ。 評価 〇

「バーニング 劇場版」

2018年の韓国映画。NHKとタイアップしていてこのテレビ版が2018年の暮れに放送された。それでは何か中途半端だった。この劇場版でそれが解消されるかと期待して観たが、やはり混沌として真実(?)というか作者の意図が伝わらなかった。残念だった。評価 △

「負け犬の美学」

2017年フランス映画。中年ボクサーの生き様を描いている。輝かしい栄光とは無縁の中で老いていくボクサーが主人公。妻も働いていて幼な子もいる中で、彼は生活のために欧州チャンピオンの練習相手という過酷な仕事を自ら引き受ける。最後の華を咲かせようとするが現実はやはり厳しい。悲哀に満ちた人生を淡々と描いていた。邦題の内容を受け止めたい。評価 〇

「愛と銃弾」

2017年イタリア映画。南イタリアのナポリを舞台にした異色の犯罪ドラマ。登場人物たちが途中で歌で心情を語るミュージカル仕立てになっているのがユニークで、しかもコメディタッチだった。マフィアの権力争いで殺伐とした殺し合いの中で、殺し屋が幼馴染の初恋の女性看護師に出会ったことで、彼女を守るために組織を裏切る、、、という筋立て。いかにもイタリアらしい厳しさと愛のロマンスが盛り込まれていて2h20の長さを感じさせなかった。 評価 〇プラス

「悪人伝」

韓国の新作封切り映画。『やくざと刑事が悪魔を捕まえる』というユニークなコンセプトで、実際これが原題(英語タイトル)になっている。この発想素晴らしい! 連続殺人犯を追っているやり手の敏腕刑事と偶然その殺人犯に襲われて傷を負った組長が共同して犯人を追う というストーリー。ラストまで息を付けないほど面白かった。エピローグもニヤリとさせて納得だった。 評価 ◎

「ロボット2.0」

2018年のインド映画で続編。インド映画史上最高額(90憶円)の製作費をかけ、歴代第2位の記録的大ヒットしたそうだ。今回はスマホが次々に消える事件が起き、それらが一体化して巨大なモンスター鳥になって人々を襲う という事件が起きる。それは鳥を愛した博士が鳥の保護を訴えても相手をされず、自殺して鳥の保護者として復活して人類に復讐をしていた。それを阻止するにはかつて人類を救ったスーパーロボット:チッティしかない。チッティは更なるスーパーパワーを装備しヴァージョン2.0として復活して戦う。荒唐無稽なドラマだがVFXが凄すぎて訳がわからない大バトルになっていた。 評価 〇

「火口のふたり」

昨年の邦画。キネマ旬報ベストテンで第1位になるなど好評を得た白石一文の同名小説の映画化。出演者は男女二人。従妹の関係だが、女が近々結婚するにあたり、男がその引っ越しを手伝いことになったことから成り行きで肉体関係を結ぶようになる。その1週間を描いた私小説的な人間ドラマ。映画ならではの味わいもあるが、原作本並びにこの映画の脚本の冴えを感じた。評価 〇プラス

「カセットテープ ダイアリーズ」

2019年のイギリス映画。どこか懐かしい感じがしたのは1987年のイギリスの田舎町が舞台だということと描かれた内容が、かつてのイギリス映画独特の風情があったことで「小さな恋のメロディ」「ベッカムに恋して」そして昨年の「イエスタデイ」などを思い出した。果たして「ベッカムに恋して」と同じ監督だった! アメリカのブルース・スプリングスティーンの歌に憧れて大ファンになったパキスタン系の高校生の青春を上手く捉えていた。賛同する箇所が多々あり、家族の問題や恋、またその当時のイギリスの経済事情と有色人種排斥運動などもよく描いていた。評価 〇プラス

「僕はイエス様が嫌い」

2019年の邦画。外国の国際映画祭で最優秀新人監督賞を受賞した奥山大史監督の長編デビュー作品。ミッション系の小学校に転校してきた少年が主人公。引っ込み思案の彼の元に小さなイエス様が現れ、彼をじっと見守るようになる。そのうちに一人親友ができる。楽しい学園生活を過ごしていたが、その友人が事故で死んでしまう。少年は学校で弔辞を読むことになるが、そこに現れた小さなイエス様を彼は叩き潰してしまう、、、、。少年の深い悲しみがよくわかるシーンだ。そこに奥山監督の意図が感じられた。評価 〇プラス

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