院長コラム

「嘘八百」

2018年の邦画。古美術を巡っての騙し合いの喜劇。古物商の小池(中井貴一)は陶芸家:野田(佐々木蔵之介)の作る贋作の茶碗に騙されるが彼の技術に感心する。そこで二人で共通の敵(?)である美術界の大御所鑑定士やその取り巻き連中らを陥れようと一勝負する。アメリカでは「スティング」のようなコンゲーム コメディの名作があるが、日本ではあまり作られないこの手の作品に乾杯!  評価 〇

「花束みたいな恋をした」

新作邦画。若い男女の恋を5年間綴った作品。共に大学生だった21歳から出会って付き合い、同棲して別れるまでを見せてくれる。最初は同じ趣味や趣向で盛り上がるが、大学を出て仕事に就くかどうかや今後の状態を考えると別々の道もあることを自然に悟ってゆく。その過程を2人称で描いていて、誰もが一度は同じような経験をしたことが懐かしく感じられた。主役の二人が魅力的で素晴らしかった。 評価 ◎

「また、あなたとブッククラブで」

2018年のアメリカ映画。70歳を超えた4人の女性が月1回集まって新書の評価をする会を続けている。といってもそれを口実に集まって旧交を温めているわけだが、それぞれ人生(特に愛)について何かを求めていた。そしてその後各人にかなりの変化がやってきた。実年齢が80歳に近い女優たちが楽しく演じているのが嬉しくもあり、懐かしくもあった。日本では決して撮れない映画だった。評価 〇プラス

「9人の翻訳家」

2019年のフランス=ベルギー映画。題名のように人気ミステリー小説の完結編を世界同時に出版するために9か国の翻訳家9名が一斉に翻訳を行うことになる。彼らは厳重に隔離されたとある屋敷でその翻訳を開始する。しかし、出版社の代表の下にその翻訳を先取りしてその身代金の要求が届く。「誰が関与しているのか?」から予想外の方向にストーリーは進む。面白く観られたが納得がいかない箇所もあり、最後は復讐劇になっていてスカッとはしなかった。 評価 〇プラス

「ファーストラヴ」

邦画の新作。題名からして恋愛もの?と勘違いしてしまうが、若い女性が父親を刺殺した事件で、その弁護士と公認心理師が彼女の心の奥を探ると共に、彼らの過去も見せているサスペンス映画だった。観終わって題名の意味が解ればいい。俳優たちが皆熱演していて十分楽しめた。最後の判決に対してもいろいろと議論があるだろう。観る価値あり! 評価 ◎

「すばらしき世界」

広島出身の西川美和監督の4年ぶりの新作。題名とは裏腹(?)に13年ぶりに刑務所を出た中年男(役所広司)の娑婆でのその後を綴った映画。30年前にノンフィクション小説として出されたものを現代にアレンジして、前科者の生きる困難さと支えてくれる人々との交流を描いている。中盤兄弟分に逢うために九州に行ったシーンからトーンが変わったのが功を奏している。ラストもしみじみした。評価 〇プラス

「ブラッドワーク」

2002年のアメリカ映画。クリント・イーストウッド監督&主演。大好きな監督の作品だが、この映画未見だった。FBIのロートルの捜査官が心臓マヒで職務の途中で退職する。その数年後心臓移植をうけて生きながらいて、いまは私立探偵をしている。そんな彼がある連続殺人事件に巻き込まれる。その裏には彼の心臓移植にも関係があった! このサスペンスも興味深かった。 評価 ◎

「テッド・バンディ」

2019年アメリカ映画。このシリアルキラーの名前はどこかで聞いたことがあると思う。1960~70年代に全米で30名以上の女性を殺害したとされる男の半生を描いている。その殺人よりも普段は普通に生活して結婚を約束した子持ちの女性と暮らしていたこと、また逮捕されてから裁判の途中で傍聴人の支援者の女性と結婚したことなど、この男のいろいろな面を見せていた。 評価 〇

 

「ミッドサマー」

昨年劇場公開されたアメリカ=スウェーデン映画。アメリカの若者たちが学生レポートのために北欧を訪れる。そこでのある村での夏の祭典に参加するが、、、。白夜の中での明るさとは対照的な不気味さが次第に増してくる一種のホラーだった。世界的に評価されている。 評価 〇

「前田建設ファンタジー営業部」

昨年1月に劇場公開された映画。「前田建設工業」による話題のWEBコンテンツの中での一つ テレビ漫画ドラマ「マジンガーZ」の地下格納庫を実際に作ったとしたらどうか? という問いに真摯に取り込んだ作品。テレビアニメからの情報だけで架空の世界の建造物が作れるのかを多くの人々が検証する様を見せてくれる。まさにロマンだし、ファンタジーだ。前向きの面白い活劇喜劇になっていた。評価 〇プラス

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