院長コラム

「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」

2018年イギリス映画。16世紀の英国に現存したスコットランド女王メアリーとイングランド女王エリザベスの権力争いを見せている。史実として伝えられているこの確執は、単に領土の問題や宗教の違いだけでなく、取り巻く部下の男たちや二人の容姿の違いまで及んで、深い話になっていた。二人の若手女優の演技も見ものだった。評価 〇

「ヤクザと家族 The Family」

邦画の新作。題名のように一人のヤクザの男を20年間見つめたドラマ。「家族」は普通の意味でのものと「組」に入った時から親分は父親であり、組の者はみな兄弟 という古いしきたり(よくいえば義理人情)を指している。主役の綾野 剛が10代の時に「組」に入る。数年後は羽振りがよいが、組の抗争で刺殺事件で刑務所に入る。14年後出所した時には「組」のおかれた状況が一変していた という3つの時期で「ヤクザ」の生き様を見せてくれた。久しぶりに邦画の世界を堪能した。 評価 ◎

「エジソンズ・ゲーム」

昨年日本でも劇場公開されたアメリカ映画。発明家トーマス・アルバ・エジソンと実業家ジョージ・ウェスティングハウス。19世紀の後半、二人の天才が電力送電システムを巡り繰り広げたビジネスバトルの行方を描いていた。共に立派な紳士であり、策略や詭弁などの手段を使わずに堂々と戦った模様が見られた。ただ映画自体は退屈だった。評価 〇マイナス

「ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋」

2019年アメリカ映画。原題は題名前半の英語。後半の副邦題で少し内容が解るし、「恋」という文字が光っている。次期大統領候補に名前が挙がっている独身の女性の国務長官(シャーリズ・セロン)と幼馴染だったいまは失業中の冴えないジャーナリストの男性(セス・ローゲン)が偶然再会する。格差だらけの二人の恋の行方を社会風刺と下ネタギャグをちりばめて描いたラブコメディ。あり得ないシチュエーションがユニークで面白かった。評価 〇プラス

「リズム・セクション」

2020年の洋画。原題も同じ。音楽に関した内容かと思ったが、全く違っていた。家族を飛行機の墜落事故で失った女性が主人公。それがテロによる爆破だと知った彼女は復讐を果たすためにあらゆる手段を用いる。戦闘のできる知識と肉体の訓練を受け、情報網を探りテロりストたちと対決する というリアルでシリアスな映画だった。評価 〇プラス

「移動都市/モータル・エンジン」

2018年アメリカ映画。邦題のように戦争の影響で荒廃した地球で人々は移動型の都市毎に国を形成して生きている。そして弱肉強食の世界で戦いを続けている。さらに旧式の飛行機で偵察・攻撃をしている。これは宮崎駿の描いたアニメの世界観に似ていた。そこで若者たちが起こす革命(?!)を描いている。ストーリーに斬新さはなくて「スター・ウォーズ」シリーズを思い出させた。 評価 〇

「KIN/キン」

2018年のアメリカ映画。原題も同様だが意味不明。近未来のアメリカで、ある少年が偶然未来から来た武器を手にしたことから起きる出来事。少年と義理の兄の二人を追ってギャングたちと謎の者たちが繰り広げるチェイス。なかなか面白いサスペンスアクションだった。評価 〇プラス

「ニューヨーク 親切なロシア料理店」

洋画の新作。邦題のようにNYでの寒い冬が舞台。夫のDV でNYに逃げてきた母子3名と何をやってもダメな若者、昼は救急看護師、夜はカウンセラーの奉仕をしている女性そして罪を償い友人の弁護士に連れられロシア料理店に勤め始めた青年の4者が互いに結びつく。社会の底辺近くにいる者たちが集って、よりよい生活をと望みながらそれぞれに頑張る様子を描いている。 評価 〇プラス

「エイブのキッチンストーリー」

2019年のアメリカ=ブラジル映画。NYに生まれたエイブ少年12歳には料理の才能がある。父はパレスチナ出身、母はユダヤ系。家族が集まるといつも政治&宗教でもめてしまう。そんな時にブラジルのコックに弟子入りする。両国の料理をコラボして仲直りしようとするが、、、。民族対立と料理を組み合わせた妙を感じた。評価 〇プラス

「声優夫婦の甘くない生活」

2019年のイスラエル映画。映画の設定は1990年で『ベルリンの壁』が崩壊した翌年、ロシアからイスラエルに移住した夫婦の話。当時はそんなユダヤ人も多かったようだ。邦題のように声優で生計を立てていた二人だが、イスラエルでの仕事はなく別の道を探す という喜劇タッチの作品。30年前の風俗や生活様式が懐かしい。あまり笑えなかったが、人生の悲哀を感じた。評価 〇

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