院長コラム

「おかえり、ブルゴーニュへ」

2017年のフランス映画。邦題からはブルゴーニュ地方がブドウの産地であり、外に出た男が再び故郷でワイン作りを続ける話かと思ったが、半分違っていた。父との仲が良くなかった長男は家出して母の死には戻らなかった。父の病気の悪化で久しぶりに故郷に帰った。そこでは妹と弟が跡を継いでいたが、苦戦中だった。長男は流れたオーストラリアで改めてワイン作りに励んでいた。ワインにかける兄弟とその後の展開に一ひねりあった。評価 〇プラス

「初恋」

鬼才:三池崇史監督の新作。題名の甘さとは裏腹の相変わらずのバイオレンス映画。ある夜から翌日の未明までに起こる様々な出来事。主役はボクサーの青年(脳腫瘍と宣告された)と父の借金で身を売るヤク中の少女。これにやくざと悪徳刑事、そして中国のマフィアが絡む大騒動。人が何人も殺されるが、ユーモアもあるノンストップアクションに全く飽きさせなかった。ベッキーが凄かった。大変堪能した。評価 ◎

 

ある女流作家の罪と罰」

2018年アメリカ映画。日本劇場未公開作品。著名人の手紙の捏造をしていた女性作家リー・イスラエルの自伝の映画化。かつてベストセラー作家だったが、現在創作意欲が衰え落ちぶれてしまったリー。ある日図書館での資料集めの際に有名作家の本の中からその人の手紙を見つける。そしてそれがかなりの金額で売買されていることを知り、自ら捏造して売り始める。その罪悪感とスリル、そして収入の狭間で揺れ動きながら遂にお縄になる。それもまた人生だなあ。 評価 〇

「星屑の町」

邦画の新作。のんさん主演。昭和歌謡の男性コーラスグループに彼女が加わろうとする話をベースに、彼女の住んでいる東北の現状も垣間見せてくれる。「恋の季節」「中の島ブルーズ」などの歌が懐かしい。今ではあまり描かれない人情喜劇で、文句なしにノスタルジックだった。 評価 〇プラス

「キングダム」

昨年の邦画。原作はコミック。中国の春秋戦国時代を舞台に、将軍になるという夢を抱いた孤児の少年と中華統一を目指す若き王の物語。主人公の少年の親友が若き王にそっくりで、彼の影武者をしていて殺されたという事情も含めて、壮大なスケールで描いた大作。先日発表された「日本アカデミー賞」において監督賞や助演男優・女優賞を獲得している。迫力はあるが、まあCGのおかげもあるだろう。 評価 〇

「レインツリーの国」

2015年の邦画。有川 浩の小説の映画化。大阪の青年が東京に就職することから始まる。彼がネットを通じて同じ本(これが題名に通じる)に共感した女性と知り合う。やっと二人が出会うが、彼女は感音性難聴で耳が聞こえなかった。そのようなハンディを乗り越える様を描いた青春ドラマ。普通(素直)に感動した。   評価 〇プラス

「ジュディ 虹の彼方に」

今年のアカデミー賞授賞式で最優秀主演女優賞をレニー・ゼルウィガーがこの映画で獲得した。主役のジュディ・ガーランドを演じている。彼女は没後50年を経てもいまなお欧米では人気を保っている伝説のミュージカルスターで、その亡くなる半年前の1968年の冬、精神的にも経済的にも困窮していた時期のロンドン公演を中心に描いたドラマ。多分にフィクション部分はあるだろうが、ジュディの生き様を赤裸々に見せてくれた。歌唱も素晴らしかった。 評価 〇プラス

「フローズン・ブレイク」

2019年ロシア映画。 ワンシテュエーションドラマ。大みそかの雪山で時間外の深夜にロープウェイに乗った4人の男女の運命を描くサスペンス映画。機械のトラブルで極寒の中で止まってしまったゴンドラの中でパニックになった男女の愚かな行動。しかし生き延びるためには仕方なかった。結末はあえて書かないが、ロシア映画もエンタメになったなあ。 評価 3/5

「黒い司法 0%からの奇跡」

1980年代のアメリカ南部アラバマ州が舞台の新作。無実の罪で逮捕され死刑が確定している黒人男を救うべく、北部の大学を出て弁護士になった黒人の青年が奔走する実話に基づく話。このような人種差別による誤認裁判が行われている という事実にはショックを覚える。日本でも検察が起訴したら99%は有罪 というテレビドラマが放送されたが、どこも同じようなことが今も起こっているのだろう。「人が人を裁く」という困難さと共に、このような告発をしている人々にエールを送りたい気持ちになった。 評価 ☆

「野生の呼び声」

新作のアメリカ映画。過去にも何度も映画化されたが、今回はその原作本の通りの初の本格的なストーリーになっている とか。主人公の犬のバックの半生を、後半見守った老人(ハリソン・フォード)のナレーションで見せてくれる。犬の行動や表情はすべてCGとのことだが、感情移入ができるほど素晴らしい。ただ、全体的には「児童文学書」の映画化のようだった。新型コロナウィルス感染症騒ぎの影響で、観客の足も遠ざかる傾向にあり今回は2名だった。評価 〇プラス

 

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