院長コラム

「罪の声」

邦画の新作。堂々としたミステリ―作品になっていた。原作も素晴らしいが、映画はそれをよくぞ整理して2h22にまとめたものだ。脚本の冴えを感じた。いまの日本映画での配役にも満足した。主演の二人の魅力もあるが、脇役が皆素晴らしかった。懐かしい顔も見られた。悲惨な話の中に一筋の光明が見られたのも良かった。評価 4/5

「KILLERS/キラーズ~10人の殺し屋たち~」

2019年のアメリカ映画。ニコラス・ケージ主演のハードアクション。怪しげなホテルを舞台に10人の男女が騙し合いと殺し合いを繰り広げているが、邦題のようなものではなく原題の”Kill Chain”のように、複数の殺し屋が互いに戦い、生き残った者が次に殺し合う という感じで、最後に2対2でホテルで決着をつけるという展開だった。評価 〇

「ドクター・スリープ」

2019年アメリカ映画。スティーヴン・キングの傑作「シャイニング」の続編となる同名のベストセラー小説の

映画化。40年前に雪山のホテルで狂気の父親に殺されかけたダニーの元に謎の少女からのメッセージが届く。それとは別に魔女(?)に率いられた男女の集団が特別な能力を持つ人を探して全米を旅していた。これらが密接に絡み合う超能力サスペンス・ホラー。前作とは全く違うテイストだった。 評価 〇プラス

「みをつくし料理帖」

邦画の新作。テレビ版でも知られた高田 郁の原作の映画化。監督の技量がないため薄っぺらな内容になっていて、主人公のキャラクターを含めてテレビ版(黒木 華)の奥行きが感じられなかった。角川春樹氏の監督作品で、いわゆるかつての『角川映画』に出ていた俳優たちが何人も顔を揃えていたというところが懐かしかった。評価 〇

「フェアウェル」

昨年のアメリカ映画。中国系アメリカ人の女性ビリーが主人公。彼女が慕っている中国本土の祖母の健康がすぐれないことを知り、従兄弟の結婚式の際に中国に帰る。末期の肺がんとの診断を受けていた祖母に対して、周囲の身内はこぞってそれを秘密にしようとしている。結婚式と相まって祖母との縁の親族や友人が集まってくる。そして何事もなかったようにアメリカに帰っていくが、、、、。 肉親の情はどこも同じだが、いまいち共感できなかった。評価 〇

「望み」

新作邦画。幸せそうで何不自由のない一家4名の家族だが、ある時長男の高校生が夜出かけて戻らなくなる。その後彼の友人が殺されたとの報道が成された。長男は加害者か? 被害者か? 加熱するマスコミ報道によって家族にも動揺が起こる。そしてその結末は? このような状況下で、父、母そして妹の立場が浮き彫りになる。見ごたえのある展開だが結末は寂しかった。 評価 〇

「空に住む」

封切りの邦画。急な両親の事故死のあと、叔父夫婦の管理している高層マンションの1室に愛猫と住むことになった30歳前の女性の話で、タイトルになっている。癒しとその後の身の振り方を模索しているのがテーマなのかもしれないが、それが感じられなかった。残念。評価 〇マイナス

「朝が来る」

封切りの邦画。素晴らしい!の一言だ。このような映画が観られる喜び&満足感を感じた。河瀨直美監督の映画は最近の3作(「あん」「光」「ビジョン」)がいずれも必見の映画だ。今回技術的にも内容的にもさらに上手く&深くなっている。主演の永作博美さんに参ってしまった。私の今年の主演女優賞本命だ。内容を知らずに是非観て欲しい。この映画も広島が一部舞台になっていた! 評価◎プラス

「スパイの妻」

今年のヴェネチア国際映画賞で銀獅子賞(監督賞)を黒沢 清監督が受賞したことで話題になっている。昭和15年の太平洋戦争前夜、神戸の貿易商が満州で軍部の恐ろしい実験を見たことから起こる、その夫婦の行動。全くのオリジナル脚本だが、実際にもありそうな事件だった。舞台劇的な演出と画面の色彩がその時代を感じさせるようだが、私には合わなかった。 評価 〇

「ストレンジ・ワールド 異世界への招待状」

2019年のイタリア=ドイツ映画。日本未公開作品。高校生5名の乗ったスクールバスに凶暴な脱獄囚が乗り込んでくる。また知らない森に迷い込んで怪物に襲われてしまう。若者のサバイバルを描いているが、どうってことにない内容だった。これがいま全米で公開されているとは! 評価 △

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