院長コラム

「ほえる犬は噛まない」

2000年の韓国映画。今年話題になった映画「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督の長編デビュー作。題名は韓国の格言のようだが本編とは関係ないように感じた。あるマンションで連続仔犬失踪事件が起きる。それを巡っての騒動を描いた異色のコメディ。あまり笑えず人間の根底にある闇の部分を抉りだしていた。評価 〇

「わたしは光をにぎっている」

2019年の邦画。人付き合いが苦手で孤独な少女が田舎から上京する。そこで慣れない都会生活を送りながら成長していく様を描いている というコンセプト。ただ私には無目的に叔父の風呂屋で働いているだけのように感じ、それが彼女の性格からか最後まで惰性で続き、成長はあまり感じられなかったなあ。評価 △

「メランコリック」

2018年の邦画。変わった題名だ。”訳あり銭湯”を舞台にした巻き込まれ型サスペンスコメディ。無名の俳優ばかり出ているので新鮮味があるというか、先が読めない展開が増していた。東大卒業後ニートの引きこもりの30代の男が主人公。彼がふとしたことから銭湯で働くことになる。だがそこが殺し屋の仕事場として使われていることを偶然知ることになり、彼もそれに加担していくようになる、、、、。 とてもユニークなストーリーで引きこまれてしまった。 評価 〇プラス

「聖女/Mad Sister」

2019年韓国映画。邦題では異なる2つのニュアンスの言葉が並んでいる。知的障害のある妹と二人姉妹の姉が主人公。彼女が刑務所から出所するところから映画は始まる。なぜそこに入ったのかは不明のまま、また姉妹の静かな生活が始まる かと思ったら、妹が何者かに誘拐される。その妹を探して奪還するために姉は全身全霊を懸けて戦う というストーリー。綺麗な顔の姉役には元ボクシング韓国代表の経歴を持つイ・シヨンが扮して迫力あるアクションを見せていた。評価 〇

「サイレント・トーキョー」

封切りの邦画。12月になってあわただしい東京で爆破騒ぎが起こる。犯人の真の目的は? 冒頭からスピード感ある展開で最後まで飽きさせない演出だった。観終わって感じるものを得たが、落ち着いて振り返ると少し無理があったかな? でも観て損のない映画だった。 評価 〇プラス

「感謝離 ずっと一緒に」

邦画の新作。平穏だった老夫婦に起こる必然(?!)の出来事。妻が脳梗塞で倒れ、夫が一人で身の回りのことをする。幸い夫は普段から家事全般(特に料理)をしていた。段々弱っていく妻、それを支える医療従事者。しかし老い(=死)からは逃れられない。まさに他人事ではない現実を静かに見せてくれた。題名からは「断捨離」にかけているのか と思ったが、それらしい様子はなかった。我々世代には観るべき映画かな? 評価 〇

「ナイト・オブ・シャドー 魔法拳」

2019年中国映画。この「ナイト」は夜ではなくて『騎士』を表している? 時代は不明の中国時代劇。凄腕の妖怪ハンターで小説家の男が主人公。二人の妖怪が少女を誘拐した事件を追う というのが本筋であるが、CGを多用したファンタジーもので、ジャッキー・チェン主演。但しアクションを含めて消化不足でいかんせん、何も残らなかった。 評価 △

「ベル・カント とらわれのアリア」

2018年アメリカ映画。1996年にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件に着想を得たフィクション映画。日本のPRを兼ねてのパーティーの夜、公邸が武装した貧しいゲリラたちに乗っ取られた。その中には世界的に有名なソプラノ歌手もいた。それから数か月の硬直が続く間に公邸内では不思議な連帯感が生まれつつあった。しかし、政府の突然の行動で事件は決着を見た。日本人としては渡辺 謙と加瀬 亮が参加していたが、共に持ち味を出していて印象深かった。評価 〇プラス

「無垢なる証人」

2019年韓国映画。ある殺人事件を担当している弁護士は唯一の目撃者である自閉症の少女から証言を得るため彼女と仲良くなろうとする。中学生である少女は自分の想いを口に出すことが困難な病いを背負っていたが、同時に驚きべきな才能~それは瞬時にいろいろなものを数えたり、人の会話をそのまま記憶する等~を持っていた。二人が接近して遂に彼女の口から真実が明らかにされた。よくあるパターンのストーリーではあるが、脚本も良く俳優たちも皆上手く演じていた。  評価 〇プラス

「幼い依頼人」

2019年の韓国映画。2013年に実際に起こった事件を基に描く実録サスペンス。父にも継母にも虐待を受けていた姉弟。その弟を殺したと10歳の姉が補導される。事件の前から姉弟を知っていた若い弁護士は、その裏にある真実を求めて奔走。そして遂に継母の暴力の果てに弟が死んだことを明らかにする。題名が実ににくい。家庭内暴力はどこでも起こっているもので、それを映画化した作品も多いが、さすが韓国映画とうならされる説得力があった。 評価 〇プラス

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