院長コラム

「太陽の蓋」

2016年の邦画。昨日紹介したのと同様に東日本大震災および福島の原発事件を扱った社会派ドラマ。ノンフィクションの形でその5年前の災害、それに対する当時の民社党政権の対応と福島の住民たちの状況など5日間描かれていて、その数年後の検証もインタヴュー形式で行われていた。このような映画は貴重だ。評価 〇プラス

 

「家路」

2014年の邦画。どこか懐かしい印象のある優しい言葉である。この映画は東日本大震災による原発事故で、故郷も農地も追われた福島の農家の物語。生き残った家族のそれぞれの想いを綴ったヒューマンドラマで、まるでドキュメンタリーのよう。他の土地に追われて行く者と汚染の下でも農業を続けていこうとする者、どちらも辛い現実がある、、、、。 評価 〇プラス

「30年後の同窓会」

2017年アメリカ映画。邦題のイメージと大分違った内容だった。3人の中年男が主人公。一人の男の息子が海外派遣先で死亡して戻ってくる。それを30年ぶりに再会した2人が慰め合う というシリアスな話。ある種のロードムービーでもあった。息子の死からそれぞれの人生を振り返る という点では面白いが、題材がやはり暗いというか日本では馴染にくかった。 評価 〇マイナス

「シェイクスピアの庭」

2018年イギリス映画。演劇界を退いたシェイクスピアが故郷に帰り余生を送ろうとするが、彼の名声を聞きつけた者たちがほっておくことはなかった。自らシェイクスピア俳優であり、監督も出がけているケネス・ブラマーが今回も監督と主演を演じている。シェイクスピアのことを知っている人にはたまらない魅力があっただろう。評価 〇

「ハニーランド 永遠の谷」

2019年のマケドニア映画。海外でも高く評価されたドキュメンタリー作品。北マケドニアの厳しい山岳地帯において、養蜂で生計を立てている女性の一家を静かに見つめている。これといった劇的な出来事はないが、目の見えなくなった母親の死に際して昔からの風習を持って接していくなど本来の人間の営みを見せてくれた。評価 〇マイナス

「パーム・スプリングス」

新作の洋画。「サンダンス映画祭」で絶賛された作品。永遠の”今日”を繰り返す男女二人のバカンス満載型ライムループ ラブコメディとのことだが、それだけではよくわからないと思う。妹の結婚式のためにパーム・スプリングスの砂漠の結婚式場に来たヒロインが、そこで場違いな格好をした青年に逢う。彼を追って砂漠に行くとタイムループに襲われ、二人が毎回目覚めると結婚式の朝に戻ってしまう  ということになってしまう。それから脱するためにあらゆることを二人は試すが、、、という奇想天外なストーリー。ハマる人はハマるだろうなあ。映画ならではの世界感ではある。 評価 〇マイナス

「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」

2018年アメリカ映画。ある事故をきっかけに世代も国籍も異なる二つの家族が数奇な運命に翻弄されていくストーリー。最初は何かわからない展開だった。ナレーションが入っているがそれがキーになっていく。最後まで見ると、アメリカのカップルとスペインの親子の偶然の関りが必然に思えてくる。文章では上手く表現できない というかまさに映画ならではの世界観に感動した。評価 ◎

「43年後のアイ・ラヴ・ユー」

2019年の洋画。邦題のように、かつて好きだった女性との43年後のめぐり逢いを描いた老人が主役の映画。記事で舞台女優がアルツハイマーになって施設に入ったことを知った元演劇評論家が、自ら同じ病気のふりをして彼女に逢いに行くストーリーだが、そこには主人公の男のこれまでの人生も反映されていた。同年代になって今後を考える意味では興味深く観られた。 評価 〇プラス

「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」

2018年フィンランド映画。作者不明の肖像画に目を奪われ、名画と確信した老美術商が孫と秘密裏に調査してオークションに臨む。人生最後の勝負に賭けるが、、、、。邦題がその骨子をよく伝えている。ラストは観てのお楽しみだが、北欧らしいムードが画面から感じられて余韻が残った。 評価 〇プラス

「グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~」

2019年の邦画。太宰 治の未完の遺作を基にした舞台劇の映画化。女性にモテる文芸編集長(大泉 洋)が偽の妻(小池栄子)を仕立てて、愛人たちに別れを告げることから起こる様々なドタバタをコメディタッチで描いている。監督が成島 出なので演出が手堅く、俳優もそれぞれ昭和20年代の風情を感じさせて好演していた。評価 〇プラス

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