院長コラム

「スピードトラップ」

2018年セルビア映画。変な邦題だがアクション映画とわかる。カートレーサーとして活躍する一方、車泥棒という裏の顔を持った青年が主人公。ある時、ギャング絡みの麻薬を大量に隠した高級車を盗んだことから起こるトラブル。まあありきたりの展開であるが、サスペンス感とカーチェイスも楽しめた。セルビアの音楽や民族はどこかインドやアラビアのものと似通っている感じだった。 評価 〇

「名前」

2018年の邦画。名前を偽り素性を隠して生きる中年男性(津田寛治)と彼を”お父さん”と呼ぶ謎めいた女子高校生(駒井 蓮)の交流を通して、それぞれの再生を描いている。直木賞作家:道尾秀介が原案のヒューマンミステリー。低予算のマイナスは否めないが、きっちり今の日本の断面を切り取っていた。話が前後する編集にも妙?!があった。 評価 〇プラス

「マックイーン:モードの反逆児」

2018年イギリス映画。デザイナーだったリー・アレクサンダー・マックイーンの人生を綴ったドキュメンタリー作品。私は知らなかったが若くしてファッション界で注目されていた若手だった。40才で自殺するまでの彼の足跡を、残されたフィルムで再現していた。母とパトロンだった女性の相次ぐ死から彼も自死に至ったようだ。これもまた無情な人生か?!  評価 〇

「サタデーナイト・チャーチ」

2017年アメリカ映画。副邦題に『夢を歌う場所』とある。どんな内容の映画かな?と思ったらLGBTの人々への支援をしているプログラムのことだった。スリーリーは父を亡くした黒人の少年が母と弟と共に父の実家に住むようになる。彼は自分の性別とは別の趣向に気づくが、祖母からも学友からも阻害される。そんな時街で出会った少年と仲良くなり、教会で同じ境遇の若者たちと出会って自分らしさに納得するまでを音楽(歌やダンス)を交えてドキュメンタリータッチで描いている。 評価 〇プラス

「リヴァプール 最後の恋」

2017年イギリス映画。往年の女優グロリア・グレアムと30歳も下の若き俳優ピーター・ターナーとの恋を描いた切ない映画。年齢もキャリアも超えたロマンスをターナーの回顧録を基に描いて撮っている。G・グレアムといえば日本ではあまり知られていない名女優だが、アネット・ベニングが老いを隠さず演じていたのが素晴らしかった。原題の『映画スターはリヴァプールで死んではいけない』もなかなかだ。評価 〇プラス

「暗殺のオペラ」

1970年のイタリア映画。’18年に亡くなったベルナルド・ベルトルッチ監督の長編第4作。1960年半ばのイタリアの地方の町が舞台。かつて反ファシズムを掲げて暗殺された地方の名士であった父親の死の真相を探るために20年後のその息子がその町を訪れる というストーリー。暑い夏の時期、記憶も定かでなくなっていたが、真相もまた不条理な混沌としたものだった。その後監督は名作「暗殺の森」「ラストタンゴ・イン・パリ」「1900年」そして「ラストエンペラー」を演出するのだが、その試金石ともいえる映画だった。 評価 〇

「ガルヴェストン」

2018年のアメリカ映画。ひどい咳から死期が近いと思ったヤクザな男が主人公。題名の田舎の町に住んでいるさえない男(実は殺し屋)がボスにはめられ命を狙われる。偶然知り合った若い女性と逃亡。その後復讐に失敗し、女性は殺される。しかし彼は永らえた。具体的には書きにくいが、どこかイタリアの名作「道」に似た郷愁を感じた。フランスの女優メラニー・ロランがこの映画を監督しているのも驚きだった。評価 〇プラス。

「ナチス 第3の男」

2017年のフランス=イギリス=ベルギー作品。英語圏の俳優を用いていて映画もほぼ英語で成されている。題名の如く一時はナチスドイツで3番目(?)の権力を持っていたといわれたラインハルト・ハイドリヒに焦点を当てている。彼は党の幹部にのし上がるために多くの非道な方法を遂行したことで知られ、ユダヤ人弾圧や大量虐殺の首謀者とも言われている。彼の実行力とレジスタンスに暗殺されるまでを描いていた。暗殺後のナチスの報復もまた酷かった。 原題は『鉄の心を持った男』 評価 〇

「アルファ 帰還りし者たち」

2018年のアメリカ映画で日本未公開。2万年前の氷河期を舞台に描くアドベンチャー作品。集団でマンモスの狩りに行った際に怪我をして崖の途中に取り残された主人公の青年が、いかにして故郷の村に帰れたかを描いたサバイバルドラマ。一人で迷走するうちにオオカミの相棒ができ、二人(?)で過酷な自然の脅威の中を生き抜いていく。荒唐無稽なシテュエーションであるが、ある種の感動があった。原題は”Alpha”で、名付けたオオカミの名前。評価 〇プラス 

「ワンダーストラック」

2017年アメリカ映画。1927年と1977年の二つの時代のアメリカで、それぞれ大切な人を探してニューヨークへ向かった少女と少年の運命の物語。50年の時を超えてそれらが交錯する というのだが、感銘や驚きもなく監督の意図が伝わったとは思えなかった。その当時の風俗(人々の服装、ビルの装飾や車など)はうまく再現して素晴らしかったようだが、本編の出来栄えには無関係だ。評価 △

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