院長コラム

「ドッグマン」

2017年イタリア映画。題名は犬の調教をしている男のこと。実際に起こった殺人事件をモチーフにしたドラマ。寂れたイタリアの田舎の町で、しがない仕事をしている気弱な男(ドッグマン)が主人公。優柔不断なマルチェロだが、それなりに生活し、かわいい娘もいる。友人の中に粗野な大男がいて、彼がいつも町でトラブルを起こしている。マルチェロはひとり彼をかばっている。ある日その大男に強盗の片棒を担がされ、マルチェロだけが刑務所に入ってしまう。一年後出所したマルチェロの取った行動は、、、。陰気で暗いムードが漂う中で妙な味わいがある映画だった。 評価 〇プラス

 

 

 

「ストレンジ・アフェア」

2019年カナダ映画。日本劇場未公開作品。邦題のように『奇妙な出来事』って何? 5年間に死んだ兄の元彼女メリッサが妊娠10か月で訪ねてくる。メリッサが言うには死んだ兄ロニーの子供だという。ロニーの弟フィリップとその両親はロニーの思い出も忘れていないが、その真実を探ろうとする。そこには想定外の事柄が隠されていた、、、というサスペンスドラマ。凝った脚本で出演者も豪華だった。評価 〇プラス

「デッド・ドント・ダイ」

2019年のアメリカ映画。一部にコアなファンを持つジム・ジャームッシュ監督の新作。今度はゾンビ映画。原題も同じで『死者は死なない』ということ。今までのゾンビ映画と同様に墓場から蘇り、生きた人を襲ってその肉を食う。食われた人もすぐにゾンビになる。彼らを退治するのは、首を落とすか頭を破壊するしかない、、、という基本に忠実に映画を撮っている。その分新しさはなく、結局主人公たちを含めてほとんどの人はゾンビになって終わってしまう。ムーン それでいいの?!  評価 〇マイナス

「きみと、波にのれたら」

2019年の日本のアニメ映画。サーフィン好きの大学生ひな子は消防士の青年:港と出会い、恋に落ちる。その後港は海で水死する。失意のひな子の前に自分だけ見える、いろいろな水の中から現れる港と再会する というファンタジー作品。甘酸っぱい青春映画の1本。 評価 〇

「Diner ダイナー」

昨年の邦画。殺し屋専用の食堂(ダイナー)を舞台に、店主である元殺し屋のシェフが、個性的な殺し屋たち(客)と死闘を繰り広げる という筋立て。監督:蜷川実花、主演:藤原竜也。本人たちは満足のようだが、共に空回りしていて観客を置き去りにした感あり。 評価 △

「ストーリー・オブ・マイライフ  わたしの若草物語」

昨年のアメリカ映画。長い邦題だ。原題は”Little Women”。そう19世紀中頃に発刊された名作の映画化で、何度か観た気がする。今回はその時代背景を変えずに、小説を書いている次女ジョーと4女エイミーの話を中心に、4姉妹とその母の生活を描いている。時間軸をずらした構成に戸惑うシーンもあったが、その分飽きさせずに最後まで気持ちよく観られた。今年のアカデミー賞に6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を見事獲得している。評価 ◎

「イメージの本」

2018年フランス映画。鬼才ジャン=リュック・ゴダールの新作。かつての有名な映画の映像や絵画、文章や音楽をコラージュした作品。彼のイメージの世界を綴ったアート映画で、相変わらず私はついていけなかった。 評価 △

「ビッグ・リトル・ファーム」

2018年のアメリカ映画。副題に『理想の暮らしのつくり方』とあるように、普通のアメリカ人の夫婦があることをきっかけにカリフォルニアの荒れ果てた農地を購入する。自然を愛する夫婦が様々な仲間と共に『究極の農場』を作るという夢を追った8年間の奮闘努力を描いたドキュメンタリー映画。いろんな難問が起こる日常茶飯事に対処する人間のすばらしさと、人を含む動物たちの生と死を素直に綴っているのが凄く感動した。映画を観ながら時に笑い、時にしんみりしたのも久しぶりの体験だった。是非観るべき映画だ。評価 ◎

「スター誕生」

同名の映画は何本かある。一応すべて同じ脚本によるもので、1954年のが一番有名だが、これは1976年のもの。主人公はバーブラ・ストライサンドとクリス・クリストファーソン。新しい2018年版と同様に、売れない女性シンガーがすでにカルスマ的な人気のある大酒飲みのロック歌手に見いだされてビッグになっている様を描いている。ヒロインの男(夫)への純な愛があるにもかかわらず悲劇的になってしまう、、という筋は不変だ。やはりヒロインの魅力がこの映画のキーになっていた。評価 〇

「君がいる、いた、そんな時。」

呉市出身&在住の若手監督:迫田公介氏の劇場長編作品。二人の小学生と図書司書の女性との交流を通じて人生のある時期のある面を切り取っている。題名は意味深だが、上手く伝わって来なかった。しかし、カメラの安定さや会話の聞き取りやすさなど良い面も見えていた。呉の町というのを意識させない撮影も悪くなかった。マイナー映画製作が次第に熟成するのを期待している。広島市では「横川シネマ」で上映中。評価 〇 マイナス

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