院長コラム

「PERFECT DAYS」

今年初めてのこのコラムになります。 昨年の最後と同じ「パーフェクト」がついた題名の映画から今年は始めます。

英語タイトルだが、日本映画といってもよいだろう。監督はヴィム・ヴェンダースで、日本を舞台にした日本語の映画。主人公は役所広司が演じる公衆トイレの清掃員。独身の中年男で、ほぼ毎日決まった行動をする淡々としたドラマ。時にはその日常に波風が起こるが、それでも静かに生きている様子が素晴らしかった。「木漏れ陽」がキーになっていた。カンヌ国際映画祭での主演男優賞にも納得!  評価 ◎

「パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女」

2022年の韓国映画。題名のとおり凄腕のドライバーの若い女性が主人公。運転技術の腕を買われて犯罪すれすれのカーチェイスをしているが、ある時訳ありの少年を助けたことから、予期せぬ事件に巻き込まれていく。脱北者ということで、さらに話が広がる。カーチェイスも凄いが、彼女のサバイバル力も相当だった。評価 〇プラス

今年のコラムはこれで終了です。また来年もかきますから、よろしく。

「幸せなひとりぼっち」

2015年のスウェーデン映画。ベストセラー小説の映画化。妻に先立たれ傷心の日々を送る偏屈な老人が、隣りに越して来た移民の一家との交流を通して再び生きる希望を見出していく様を淡々と綴った映画。少しシニカルで皮肉もあるが、それだから納得できる。この映画をリメイクしたのがアメリカ映画の「オットーという男」(主演:トム・ハンクス)。評価 〇プラス

「RRR」

2022年のインド映画。劇場で観ていたが、自宅でまた見た。よくできたエンタメ仕立ての映画で、3時間の長さも納得。100年前のイギリス統治下のインドで、本当にあのような虐待もあったのだろう。超人的な二人のインド人の活躍はもう黙って画面をみるしかない。この春のアカデミー賞で歌曲賞を獲ったダンス&歌はやはり楽しかった。スーパーアクションだけで1時間あり、そのダイジェスト版を再編集してしまった。 評価 ◎

「ヒトラーのための虐殺会議」

2020年のドイツ映画。題名のとおり。ナチス政権下に、ヒトラーの命をうけてヨーロッパにいる1100万人のユダヤ人を抹殺するための非人道的な会議の詳細を綴ったもの。アイヒマンが記録したこの会議の議事録に基づく歴史ドラマ。反ユダヤの考えがそこまで深くて酷いとは思わなかった。いかに効率的に殺すかを議論していて、強制収容所におけるガス室の設立なども決められた。博識のある学者たちが軍人と共にこうした決定をすること自体背筋が凍ってしまう。事実は重い。評価 〇プラス

「市子」

新作邦画。同棲していた彼から婚姻届けのことを聞かされた翌日、市子は失踪した。同じ日に近くの山崩れで若い女の白骨死体が発見されたとの報道もあった。彼と刑事が市子の行方を捜すうちに、市子の過去が徐々に明らかにされていく、、、。サスペンスタッチの内容に引き込まれて行った。 最後は❓だったが、なかなかのドラマだった。 評価 〇プラス

「奈落のマイホーム」

2021年韓国映画。題名からして、どんな精神的な破滅を描いたドロドロとしたドラマか? と想像したが、よい意味で裏切られてしまった。人間関係の破綻ではなくて、ただ単に主人公たちが住んでるマンションの地盤が壊れて、建物自体が住民と共に500m下に落ちる というディザスタームービーだった。そこで生き残った者たちのサバイバルドラマが展開する、、。ハラハラして見られたが、ユーモアも忘れていないのが素晴らしかった。評価 ◎

「魂のまなざし」

2020年フィンランド映画。モダニズムを代表するフィンランドの女流画家:ヘレン・シャルフベック。男性優位社会の20世紀の初め、様々な困難を乗り越えて芸術家として自立する。が、その後の彼女の人生を決定づけたのは、年下の男性との別れだった。その葛藤の8年間に主題を置いていた。そのため偉大さよりも女性としての弱みがより伝わった。 評価 〇

「パッセンジャー」

2016年のアメリカ映画。近未来の宇宙が舞台。移住する惑星に向かう宇宙船内の冬眠装置で眠っていた男は、機械の不調で予定より90年も早くひとり目覚めてしまう。3年間は一人で過ごすが、その後一人の女性を起こす。宇宙船内で極限に置かれた男女の愛と運命を描いたSFロマンス作品。もし自分だったら などと考えてしまった。ラストは少し感動した。評価 〇プラス

 

「人生は、美しい」

韓国映画の新作。素晴らしい題名だ。予備知識なしで観たが、それが良かった。大筋は「余命2ヶ月と宣言された主婦が、夫と共に車で初恋の人の消息を捜す」というものだが、夫婦のこれまでの愛の軌跡を振り返る旅~ロードムービーになっていた。決して悲しいストーリーではなくて、明るく笑えるミュージカルでもあった。文句なしの2時間。広島では1日1回1週間のみの上映だった。評価 4.5/5

ページ上部へ