2020年12月

「異端の鳥」

今年のアカデミー賞において国際長編映画賞の5本にチェコ映画としてノミネートされた作品。それだけでも観る価値があるといえよう。題名はユニーク。英語題名は『塗られた鳥』。映画の前半でその意味が解るシーンがあった。第2次世界大戦中のチェコの田舎において過酷な人生を送る少年の数年間を描いている。それがその時代に生き抜いた人間の運命だろうか?! 評価 ◎

「母なる証明」

2009年韓国映画。昨日に続きポン・ジュノ監督作品。ある青年が女子高校生殺人事件の容疑者になり、警察に拘束される。愛する一人息子のために母親がその事件の真相を探る。青年には知的障害があるが、その奥には(母も知らなかった)驚きべき能力も持っていた という事実がキーになっていた。後味も独特で表現しづらい。評価 〇プラス

「ほえる犬は噛まない」

2000年の韓国映画。今年話題になった映画「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督の長編デビュー作。題名は韓国の格言のようだが本編とは関係ないように感じた。あるマンションで連続仔犬失踪事件が起きる。それを巡っての騒動を描いた異色のコメディ。あまり笑えず人間の根底にある闇の部分を抉りだしていた。評価 〇

「わたしは光をにぎっている」

2019年の邦画。人付き合いが苦手で孤独な少女が田舎から上京する。そこで慣れない都会生活を送りながら成長していく様を描いている というコンセプト。ただ私には無目的に叔父の風呂屋で働いているだけのように感じ、それが彼女の性格からか最後まで惰性で続き、成長はあまり感じられなかったなあ。評価 △

「メランコリック」

2018年の邦画。変わった題名だ。”訳あり銭湯”を舞台にした巻き込まれ型サスペンスコメディ。無名の俳優ばかり出ているので新鮮味があるというか、先が読めない展開が増していた。東大卒業後ニートの引きこもりの30代の男が主人公。彼がふとしたことから銭湯で働くことになる。だがそこが殺し屋の仕事場として使われていることを偶然知ることになり、彼もそれに加担していくようになる、、、、。 とてもユニークなストーリーで引きこまれてしまった。 評価 〇プラス

「聖女/Mad Sister」

2019年韓国映画。邦題では異なる2つのニュアンスの言葉が並んでいる。知的障害のある妹と二人姉妹の姉が主人公。彼女が刑務所から出所するところから映画は始まる。なぜそこに入ったのかは不明のまま、また姉妹の静かな生活が始まる かと思ったら、妹が何者かに誘拐される。その妹を探して奪還するために姉は全身全霊を懸けて戦う というストーリー。綺麗な顔の姉役には元ボクシング韓国代表の経歴を持つイ・シヨンが扮して迫力あるアクションを見せていた。評価 〇

「サイレント・トーキョー」

封切りの邦画。12月になってあわただしい東京で爆破騒ぎが起こる。犯人の真の目的は? 冒頭からスピード感ある展開で最後まで飽きさせない演出だった。観終わって感じるものを得たが、落ち着いて振り返ると少し無理があったかな? でも観て損のない映画だった。 評価 〇プラス

「感謝離 ずっと一緒に」

邦画の新作。平穏だった老夫婦に起こる必然(?!)の出来事。妻が脳梗塞で倒れ、夫が一人で身の回りのことをする。幸い夫は普段から家事全般(特に料理)をしていた。段々弱っていく妻、それを支える医療従事者。しかし老い(=死)からは逃れられない。まさに他人事ではない現実を静かに見せてくれた。題名からは「断捨離」にかけているのか と思ったが、それらしい様子はなかった。我々世代には観るべき映画かな? 評価 〇

「ナイト・オブ・シャドー 魔法拳」

2019年中国映画。この「ナイト」は夜ではなくて『騎士』を表している? 時代は不明の中国時代劇。凄腕の妖怪ハンターで小説家の男が主人公。二人の妖怪が少女を誘拐した事件を追う というのが本筋であるが、CGを多用したファンタジーもので、ジャッキー・チェン主演。但しアクションを含めて消化不足でいかんせん、何も残らなかった。 評価 △

「ベル・カント とらわれのアリア」

2018年アメリカ映画。1996年にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件に着想を得たフィクション映画。日本のPRを兼ねてのパーティーの夜、公邸が武装した貧しいゲリラたちに乗っ取られた。その中には世界的に有名なソプラノ歌手もいた。それから数か月の硬直が続く間に公邸内では不思議な連帯感が生まれつつあった。しかし、政府の突然の行動で事件は決着を見た。日本人としては渡辺 謙と加瀬 亮が参加していたが、共に持ち味を出していて印象深かった。評価 〇プラス

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