2020年05月

「暗殺のオペラ」

1970年のイタリア映画。’18年に亡くなったベルナルド・ベルトルッチ監督の長編第4作。1960年半ばのイタリアの地方の町が舞台。かつて反ファシズムを掲げて暗殺された地方の名士であった父親の死の真相を探るために20年後のその息子がその町を訪れる というストーリー。暑い夏の時期、記憶も定かでなくなっていたが、真相もまた不条理な混沌としたものだった。その後監督は名作「暗殺の森」「ラストタンゴ・イン・パリ」「1900年」そして「ラストエンペラー」を演出するのだが、その試金石ともいえる映画だった。 評価 〇

「ガルヴェストン」

2018年のアメリカ映画。ひどい咳から死期が近いと思ったヤクザな男が主人公。題名の田舎の町に住んでいるさえない男(実は殺し屋)がボスにはめられ命を狙われる。偶然知り合った若い女性と逃亡。その後復讐に失敗し、女性は殺される。しかし彼は永らえた。具体的には書きにくいが、どこかイタリアの名作「道」に似た郷愁を感じた。フランスの女優メラニー・ロランがこの映画を監督しているのも驚きだった。評価 〇プラス。

「ナチス 第3の男」

2017年のフランス=イギリス=ベルギー作品。英語圏の俳優を用いていて映画もほぼ英語で成されている。題名の如く一時はナチスドイツで3番目(?)の権力を持っていたといわれたラインハルト・ハイドリヒに焦点を当てている。彼は党の幹部にのし上がるために多くの非道な方法を遂行したことで知られ、ユダヤ人弾圧や大量虐殺の首謀者とも言われている。彼の実行力とレジスタンスに暗殺されるまでを描いていた。暗殺後のナチスの報復もまた酷かった。 原題は『鉄の心を持った男』 評価 〇

「アルファ 帰還りし者たち」

2018年のアメリカ映画で日本未公開。2万年前の氷河期を舞台に描くアドベンチャー作品。集団でマンモスの狩りに行った際に怪我をして崖の途中に取り残された主人公の青年が、いかにして故郷の村に帰れたかを描いたサバイバルドラマ。一人で迷走するうちにオオカミの相棒ができ、二人(?)で過酷な自然の脅威の中を生き抜いていく。荒唐無稽なシテュエーションであるが、ある種の感動があった。原題は”Alpha”で、名付けたオオカミの名前。評価 〇プラス 

「ワンダーストラック」

2017年アメリカ映画。1927年と1977年の二つの時代のアメリカで、それぞれ大切な人を探してニューヨークへ向かった少女と少年の運命の物語。50年の時を超えてそれらが交錯する というのだが、感銘や驚きもなく監督の意図が伝わったとは思えなかった。その当時の風俗(人々の服装、ビルの装飾や車など)はうまく再現して素晴らしかったようだが、本編の出来栄えには無関係だ。評価 △

「Be With You~今、会いにゆきます」

2018年の韓国映画。昨日紹介した同名の邦画の14年後のリメイク。亡くなったはずの妻とのつかの間の幸せな日々を描いているが、いろいろな点でうまく韓国的にアレンジしてある。友人のこと、陸上から水泳の選手だったこと、絵本のキャラクターの変化、兵役に行ったこと等、、、。しかし、コンセプトは同じで、切ないファンタジー感はどちらも甲乙つけがたかった。竹内結子の役を日本でも人気のあるソン・イェジンが演じているのも良かった。 評価 ◎

「いま、会いにゆきます」

2004年の邦画。話題になった小説の映画化だった。今見ても色あせてないのが素晴らしい。死んだ妻がその1年後の梅雨の雨の日に戻ってくる という不条理ながら切ないストーリーが今の時世心に沁みる。予想通りに終わって単なる夢物語にせずに、その後の展開(亡き妻の日記を語る)がにくい演出だ。 評価 ◎

「未来のミライ」

2018年夏公開されたアニメ。細田 守監督作品。4才のくんちゃん(男子)に妹ができた。名前は未来。その赤ん坊に両親の愛情を奪られたと感じたクンちゃんの前に、未来からやってきた妹:未来が高校生の姿で現れる、、、というストーリー。その現実と夢の世界が交互に見られながら、新しい家族と命の話を綴っている。映画の内容とは別に、この家族の家の造りが大変ユニークだった。 評価 〇

「嵐電」

2019年の邦画。京都の電車:京福電鉄嵐山線(通称らいでん)をモチーフに、交差する3つの物語をそれぞれ見せてくれる。作家の男性は亡き妻との思い出を辿るために来た。若手の俳優は京都の撮影所に仕事で来ていて方言で悩んでいる時にそこの女性と知り合う。高校生の男子は片思いの気持ちを伝えられないでいる。『雷電』沿線で繰り広げられるそれぞれの想いを時間軸を変化させてみせてくれるので少し戸惑う個所もあるが、逆にそれが魅力にもなっていた。 評価 〇プラス

「NUMBER37 ナンバー37」

2018年の南アフリカ映画。珍しい。内容は犯罪多発の町でどん底生活を送っている男の話。彼ランダルはある儲け話のために高利貸しから金を借りるが、失敗し自らも歩けない状態になっている。妻と安アパートに住み、外を望遠鏡で覗くような生活をしていた。ある時隣のアパートで、そこに住むギャングたちが(悪徳)警官を殺害する場面を目撃する。ランダルはギャングたちを脅迫して金をせしめようと計画するが、、。最後はギャングたちと高利貸しの双方から命を狙われるハメになる。サスペンスタッチのアクション映画。面白く見られた。題名はギャングの住む隣のアパートの部屋番号。 評価 ◎

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